管理監督者は残業代は支払われませんが、これを曲解して、社員全員を管理職の地位につけるといった方法により人件費の削減を図ろうとする会社もあったりします。
社員全員にマネージャーという肩書きを与え、これであなたも管理職だから残業代は出ませんというような話です。そこまで極端なものではなくても、入社から3年くらいたって一人前に仕事ができるようになれば即座に管理職にしてしまうというようなケースもあります。これはかなり怪しい方法です。
そもそも管理監督者と管理職はイコールではありません。ほとんどイコールというか、単なる略称のように思えるかもしれませんし、本来はそうあるべきなのですが、実態としてはかけ離れていることも多々あります。
管理監督者とは経営者と一体的な立場で仕事をするような人のことを指します。社員全員とかほとんどの社員が経営者と一体的な立場で仕事をしているような会社などあるはずがありません。諺にいう船頭多くして何とやらの状態となり、それでは会社は立ち行きません。
この意味でも、社員の大半が管理職である会社は何かおかしいということができます。第一線の業務というか実務が仕事の中心になっているような人は本来の管理監督者であるはずがないからです。
そういう人は、たとえ肩書きがいかにも管理監督者らしい名称、マネージャーとか店長などになっていたとしても、残業をすればその分の残業代を請求することができるのです。